ZUU Onlineの「スイス中銀突然の為替介入ギブアップ 安全資産フランが消えた日」を読んで

2015年5月24日

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ZUU Onlineというサイトに「スイス中銀突然の為替介入ギブアップ 安全資産フランが消えた日」という記事が掲載されていました。

スイスフランはリーマンショック以降日本円と同様安全資産として、ドルやユーロに対して買われ続けてきました。
そしてスイス中央銀行は自国の経済を守るため対ユーロに対して1.2を守るための介入を無制限に行ってきました。(ユーロ買いスイスフラン売り)

しかし、1月15日の日本時間の午後6時30分過ぎにスイス中銀がその対ユーロで行ってきた1.2の無制限介入を解除する旨の声明発表が流れました。
それに関する記事で、

対ユーロのスイスフラン価格は瞬間で約4000PIPS弱下落することとなり、インターバンクを含めてすべての市場から価格が消えたのは言うまでもない状況である。

と記述してあります。
しかし、事実は対ユーロに対してスイスフランが約4000PIPS上昇しています。

また、

外部には公表していなかったがスイス中銀は一貫して介入を続けてきたと思われる。その結果として既にGDPの7割にあたる外貨準備金、つまり4550億ドル程度を使うことになり、直近の4950億ドルの外貨準備額のほとんどを使い果たす寸前まで来てしまったのが現状なのだ。

とあります。
外貨準備額は中央銀行あるいは中央政府等の金融当局が外貨を保持することを指します。
スイス中央銀行がユーロに対して1.2のラインを維持するために介入してきたのは事実で、介入により外貨準備額が増え続けてきたにもかかわらず、記事では使い果たす寸前と書いてあります。

こうしたことから資金的に見ても、もはやスイスフランを買い支えることはできないという判断を下した結果が今回のスイス中銀の声明と見られる。この声明が効力を発揮するのはECB理事会ということでほぼ1週間前に発表したというのが大方の市場の見方となっている。

「スイスフランを買い支えることはできない」と記述していますが、実際はユーロが売られ安全資産のスイスフランが買われ、スイスフランが上昇するのを阻止するためにユーロ買い、スイスフラン売りを行ってきました。つまりスイス中央銀行がユーロを買い支えてきたわけです。

ZUU Onlineは金融についての記事を扱うサイトのようですが、ここまで事実誤認、真逆のことを書いてある記事も珍しい。
まだFXをやっている素人の方がまともな記事を書けるのではないでしょうか?
ネットで誰もが自由に情報を発信できることは良いことですが、事実確認をしっかり行い、正しい情報を発信すべきだと思います。

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