遊廓跡地を訪ねて 古市遊郭
神宮の外宮と内宮を結ぶ参宮街道上にあった古市。
参拝後に精進落としをする人々が増加したことにより、茶立女・茶汲女と呼ばれる遊女をおいた茶屋が現れ、幕府非公認ながら江戸の吉原、京都の島原と並んで三大遊廓と言われました。
その古市遊郭は先の戦争の空襲により、致命的な被害を受け、当時の面影を残すものは「麻吉旅館」のみと言われています。
しかし、参宮街道上にある「伊勢古市参宮街道資料館」には伊勢歌舞伎や古市遊郭の関係資料が展示してあるとのことで、神宮参拝の翌日に行ってきました。
大きな看板が立っているのですぐにわかります。
中に入ると古市遊郭の成り立ち等の資料が掲示してあります。
古市遊郭の顔見せと伊勢音頭
吉原のような遊郭では格子越しに女性を見て選ぶことができましたが、古市遊郭では、舞台上で女性が伊勢音頭を踊り、それを見た客が自分の好みの女性を選んだようです。
古市遊郭の三大妓楼
江戸時代中期には妓楼70軒、遊女1000人を超え、その中でも備前屋、杉本屋、油屋は古市の三大妓楼と言われていました。
当初、館長さんは夫婦らしき見学客に色々と説明をしていて、我々は放置状態でした。
しかし、その夫婦は参拝のついでに立ち寄っただけであまりご興味が無い感じ。
夫婦が立ち去った後に館長さんに「古市遊郭のことでお尋ねしたいのですが」と話しかけると「古市参宮街道ガイドマップ」を片手に立て板に水の状態で話が止まりません。
「麻吉旅館」以外は往時の面影を伝えるものが無いと言われている古市遊郭ですが、備前屋と油屋に関しては、跡地に石碑が建っているとのことで早速行ってみることにしました。
油屋跡地
古市参宮街道と近鉄鳥羽線の交わる位置に油屋はありました。
近鉄鳥羽線の線路を引くために切り崩され、当時を偲ぶものはほとんど残っていません。
「油屋」と聞くと、映画「千と千尋の神隠し」に登場する銭湯「油屋」を想像する方もいらっしゃるかと思いますが、古市遊郭の「油屋」をイメージしたとの噂も……。
備前屋跡地
油屋跡地からさらに外宮方面へ歩くと伊勢音頭を最初に取り入れた備前屋の跡地があります。
途中、以下のような建物を発見。
またしてもタイルに目がいってしまいます。
規模の小さい妓楼跡に見えてしまうのは気のせいでしょうか?
通常、色街があったことはなるべく触れたがらない地区が多い中、過去の資料を残し、遊郭という文化があったことを未来にも伝えていこうという姿勢はとても素晴らしいと思いました。
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